回復期リハ病棟って何?PT働くシリーズVol.2 

前回は理学療法士(以下:PT)の就職事情を簡単に紹介しました。PTの所属先は医療機関や医療福祉中間施設が大半でしたが、具体的な所属先はどの様な感じでしょうか。今回は近年増加傾向にあり、若手のセラピストが多く所属する回復期リハビリテーション病棟、いわゆる“カイフクキ”について、筆者の経験を踏まえながら紹介します。

1.回復期リハ病棟って何?:リハビリを集中的に行う病棟や病院。

街中で〇〇リハビリテーション病院と言う看板を見かけたことはないでしょうか。回復期リハ病棟は、リハビリテーション病院などのリハビリ専門の病院や、総合病院などの中に併設されています。回復期リハ病棟とは、日常生活動作(ADL)の改善を目的としたリハビリテーションを集中的に行う専門の病棟のことです。対象は脳卒中や骨折、骨関節疾患などです。通常、急性期病院から転院し、寝たきりの予防を行いながらスムーズに在宅復帰するために入院する病棟です。簡単に言いますとリハビリ専門の病棟ということです。

2.回復リハ病棟ってどれくらいあるの?:平均で7~8病院に1病棟

2013年現在、全国の病院の数は約8,500病院、病床数は約1,695,210床となっています(厚生労働省)。一方、回復期リハ病棟を持つ病院は1,187病院、全国の回復期リハ病棟は1,486病棟、65,570病床となっています(回復期リハビリテーション病棟協会)。単純に平均で7~8病院に1病棟の割合で回復期リハ病棟があることになります。回復期リハ病棟は2000年に医療保健に創設されましたが、2000年の3,175床から毎年増え続け、2013年には68,316床と右肩上がりに増加しています。地域別で回復期リハ病棟数の人口比は、九州、四国で高く、関東、東北は低いようです。セラピストの数も同様に西高東低になっているようです。地域差があるものの、全国的には回復期病棟の数は増加傾向にありますが、リハ医や看護師、介護士、PT、OT、ST、社会福祉士、栄養士、歯科衛生士などの十分な人員配置や提供する個別リハ体制(休日など)、在宅復帰率、患者重症度など、リハビリテーションの質も求められています。

3.回復期リハ病棟はどんな患者さんがいるの!?高齢者の脳卒中や骨折

 病院も様々あり地域や診療科により一様ではありませんが、回復期リハ病棟の患者さんは主に高齢者です。多い疾患は、脳卒中や下肢骨折、骨関節疾患、外傷、廃用症候群(寝たきりにより身心の機能が低下すること)です。疾患別の割合は、回復期リハビリテーション病棟協会による2001~2012年の調査によると、脳血管系の患者さんが70%⇒50%、整形外科系の患者さんが15%⇒40%となっています。脳血管系の患者が減っているわけではなく、整形外科系の患者の割合が増えているようです。今まで私が関わって来た患者さんも高齢者の方で脳卒中や骨折により入院している人がほとんどでした。

4.回復期リハ病棟はどんな職場?チーム医療と日常生活動作も学べる。

 チーム医療は当然ですが、医師、看護師、介護福祉士、セラピスト(PT、OT、ST)、管理栄養士、歯科衛生士、薬剤師など多くのスタッフがチームを組みます。お互いの専門性を活かし、協力しながら一人の患者さんの在宅復帰を支援します。私が他の病棟と少し違うと思うのは、他職種の距離感だと思います。様々な病院がありますが、私が勤めていた職場は、スタッフをリハ科や看護科などと別けずに、〇階病棟配属と各スタッフが同一部署に配属となっていました。そのため他職種との垣根が無く、お互いの顔が良く見え、ディスカッションしやすい環境でした。私はPTですが理学療法を行っている時間以外はナースコールにも対応し、トイレ対応やおむつ交換、食事介助、口腔ケア、更衣などの患者さんの日常生活のケアも行っていました。時には入浴の介助も行うこともありました。私は日常生活のケアを養成校で具体的に教わる機会が少なかったので、当初は看護師や介護士に教えてもらい、ドキドキしながら行ったのを覚えています。PTの専門では無いので必要ないと思う人もいるかもしれません。しかし、ケアに関わる経験は、日常生活動作のアプローチチームや医療を学ぶ良い機会でした。さらに回復期病棟で働く経験は、調理や買い物や公共交通機関の利用などのIADLアプローチや住宅環境整備や介護保険サービスなども学べました。このように回復期リハ病棟は、運動療法などの機能面へのアプローチだけでなく、リハビリテーションについても多くのことを学べると思います。

5.回復期リハ病棟の勤務条件は?不定休で給料は高くない。でも就職しやすい?

多くの回復期リハ病棟が356日24時間体制でリハビリを提供しており、祝日は関係無く出勤する不定休(例 :休日9回/月)の場合が多いと思います。勤務体制を日勤(例8:30~17:00)、早出(例7:00~15:00)、遅出(例11:00~19:00)と三交代性にしている病院もあります。日勤の時は理学療法を行う患者さんは1日に6~7人前後です。自身が担当する患者は3~4人、それ以外の時間は、他のスタッフのフォローでした。365日交代で勤務するため、セラピストの数が必要になり、若手のセラピストが多くを占めることになります。セラピストの人数が増えると人件費も必要になり、比較的、お給料はあまり高くないと思います。しかし、採用する人数も多いため、現状は就職しやすいかもしれません。私の以前の職場はセラピストが100人以上いましたが、その分退職するスタッフも相当数いました。どうしても医療機関に就職したい人は、回復期リハ病棟がある病院や法人を探すのが一つ早道かもしれません。

今回は回復期リハ病棟について私の経験を交えながら紹介致しました。PT学生や職場を変えようと思われている方々に参考になれば幸いです。

ABOUTこの記事をかいた人

川副泰祐

陸上自衛隊退職後、理学療法士養成校に入学。卒業後はリハビリテーション病院で勤務し、2012年9月よりJICA青年海外協力隊としてタイ国に赴任。バンコク近郊のパトゥンターニー県労災リハビリテーションセンターに理学療法士として活動。帰国後、神奈川県内の病院で勤務中。長崎県長崎市出身。1982年12月生まれ。