「高齢者の転倒」について

12月半ばも過ぎ、どんどん寒くなってきています。皆さん体調は大丈夫でしょうか??

私はなんとか大きな病気もせずに今日まで健康で過ごせています。普段、当たり前にある健康というものに感謝しなければいけませんね。

さて、この時期に体調不良と共に増えてくるものに転倒があります。

それは、「高齢者の転倒」です!

ただの転倒で済めばまだ良いですが、大腿骨頸部骨折などを併発してしまうと、強い痛みによって起き上がることも出来なくなってしまいます。

大腿部頸部骨折では手術が必要となってきますが、当然、手術後すぐに動けるようになる訳でもなく、圧倒的に寝たきりの時間が多くなってしまいます。高齢者にとって、寝たきりの時間が増えることは筋力の低下・認知症の進行などにより、生活の質の低下に大きく直結します。ある調査では大腿骨頸部骨折患者の10%程度は1年以内に死亡するとも言われているようです。そこまでいかなくても、筋力の低下は免れず、リハビリを一生懸命行ってくれても、受傷前と同様の生活まで戻るのは大変なことです。

この大腿骨頸部骨折は年々増加の一途をたどっています。その大きな要因の一つとして、高齢化社会が進んでいると考えられます。
そしてこの時期は寒さによって特に体が思うように動かなくなる時期でもあり、日本整形外科学会の報告でも、夏季に比べて冬季の転倒・骨折が優位に高いことが明らかになっています。

「転倒は仕方がないし、骨折したら運が悪かったんだ」で済ませていいほど簡単な出来事ではなく、当人にとっては本当に人生を左右してしまうような出来事です。

今回は、そんな高齢者の転倒を予防するために必要な知識を報告します。

筋力トレーニングや持久トレーニングには転倒予防効果がない?

現在65歳以上の高齢者の3人に1人は1年間に1回以上転倒することが報告されています。

それは虚弱な高齢者に限ったことではなく一般高齢者に対して実施した調査でも30%程度の転倒発生率となっており、山田らは移動能力指標とされているTimed Up and Go test(TUG:椅子から立ち上がり3m先の目標物まで移動、方向転換の後、再び椅子まで移動し着座するまでの時間を計測するテスト)を8.3秒以内で遂行するような高い運動能力を持っている高齢者でも5人に1人は1年間に1回以上転倒し、15秒以上かかるような高齢者では2人に1人は1年に1回以上は転倒していたと報告されています。

アメリカ老年医学会(2001年)では、高齢者の転倒リスクで筋力低下・バランス機能の低下等をハイリスク群に挙げているようです。

また地域在住高齢者と施設入所高齢者では転倒リスクが若干異なり、地域在住高齢者では認知機能低下・抗精神病薬の服用が最も転倒リスクが高く、次いで下肢筋力・バランス機能低下などが続くが、施設入所高齢者では認知機能低下・抗精神薬服用と下肢筋力・バランス機能低下は同程度のリスクであると報告されています。

このように転倒といっても、対象者の動作能力レベルや居住環境によって原因は異なるようです。

さらに興味深いことに、Sherringtonらがおこなった転倒予防のための運動介入に関するシステマティックレビューでは、●強度の程度に関係なく筋力トレーニングには転倒予防効果がない●持久トレーニングには転倒予防効果がない●ストレッチには転倒予防効果がないと結論付けています。

ん?転倒リスクの要因に筋力低下などが挙げられているにも関わらず、筋力トレーニングや持久トレーニングには転倒予防効果がない?めちゃくちゃ矛盾してる!

山田らはこの矛盾について、身体機能レベルによって転倒要因が異なる可能性があるとし、高齢者に対してテーラーメイド型の転倒予防介入が必要であると報告しています。

端的にいうと①筋力低下などが原因で転倒する高齢者と、②筋力がある程度あるのに、周囲に注意力を向けられないために、何かに躓くなどして転倒してしまう高齢者がいるという訳であり、当然両者とも能力が低い高齢者もいるということです。

①に対して筋力トレーニングは転倒予防に必須であるが、②に対して筋力トレーニングだけ行っても転倒予防にはつながりにくいという事になります。よって②に対しては、二重課題(何か別のことを行いながら歩行するなど)のトレーニングも行う必要があります。

私はこのことを知って、単に筋力トレーニングをおこなえば転倒予防になるという考えは浅はかだった!!と大変反省したのを覚えています。

①と②の判断基準はTUGで11秒を境として考えているが、より詳細な分類を山田先生は報告しています。詳細は山田実先生の文献を読んでいただければと思います。

②に対する簡単な運動例として、「後出しじゃんけん」しながらの足踏み練習や、しりとりしながら歩行する、視覚や口頭で指示された方向に素早くステップ運動を行う・・・

等が考えられると思います。

まとめ

自分の両親や祖父母、親戚、ご近所さんは大丈夫でしょうか。この記事が、少しでも転倒予防に繋がってもらえれば幸いです。私も、もっともっと勉強・練習をして、いつまでも健康で快適な生活を送るため、自分自身・周りの大事な人たちを守れるようになりたいと思っています!!