『サルコペニア』ってなんだろう?

”健康寿命”という言葉があります。

健康寿命とは、周りの助けを借りずに自分の力を使って、健康的な生活を送る期間のことです。日本では平均寿命と健康寿命の差は10年前後となっています。つまり、自分の力では生活できない、『要介護状態』の期間が10年もあるのです。

では何故自分の力では生活できない状態になってしまうのでしょうか?

近年、注目され、様々な分野で聞かれるようになってきた『サルコペニア』という言葉があります。そのサルコペニアについて考えてみたいと思います。

サルコペニアとは?

サルコペニアとは元々、加齢による筋力低下を指す言葉として用いられてきましたが、現在では加齢だけではなく、活動(廃用)・栄養(飢餓)・疾患(侵襲、悪液質、神経筋疾患)を原因とした、進行性・全身性に認める筋肉量減少と筋力低下であり、高齢者の自立を大きく阻害する因子として知られています。

日本人におけるサルコペニアは65歳~74歳まででは10%程度だが、75歳以降では割合が急激に増加し75~79歳では約25%、80~84歳では約40%、85~89歳では約60%の方がサルコペニアに該当しており、65歳以上全体でみると約20%程度の方がサルコペニアです。

これだけたくさんの高齢者がサルコペニアということは、驚くべき数字だと思います。この数字は決して他人事ではありません。そのため、医療従事者だけでなく、日本人全体がサルコペニアについて、もっと理解が必要だと思います。

サルコペニアの分類

サルコペニアは加齢のみが原因のものを原発性サルコペニア、その他の原因(活動・栄養・疾患)によるものを二次性サルコペニアと分類します。サルコペニアの予防と治療には運動と栄養が有用と考えられますが、上記の原因に見合った対応をしないと逆効果にもなりえます。

サルコペニアの基準(AWGS2014より)は、

①握力(男20㎏・女18㎏)
②歩行速度(0.8m/秒)

の二つが正常ならばサルコペニアではありません。このどちらかが基準値以下の場合、筋肉量・筋力を評価します。簡単なものでは、下腿周径長があり男34㎝、女33㎝以下でサルコペニアということになります。ただしこの基準は地域在宅高齢者のものであり、入院患者さんでは基準はもっと低い可能性もあるようです。

原発性サルコペニアのみの場合、レジスタンストレーニングとタンパク質・アミノ酸補給の併用が現在最も効果的といわれていますが、ここに二次性サルコペニアが合併している場合、原因の評価をして正しい対応をしないと取り返しのつかないことになってしまいます。

なお二次性サルコペニアの原因となる低栄養は、リハビリテーションを行っている入院患者さんに多く認められています。

施設別に低栄養の高齢者の割合を調査した結果では、病院では低栄養38.7%、低栄養の恐れ47.3%に対し、リハビリテーション施設では低栄養50.5%、低栄養の恐れ41.2%であったという報告があります。理由として、①疾患発症前からの低栄養②疾患発症時~急性期の侵襲による栄養状態の悪化③疾患発症後の不適切な栄養管理の3つが考えられるといわれています。

これは医療従事者にとしてしっかりと受け止める必要がある数字だと考えています。
自分のことを振り返ってみても、サルコペニアという特性を理解し、栄養や運動量が適切な時期かということをしっかりと理解してリハビリを行っていたかと考えると疑問が残ります。

まとめ

今回、若林秀隆先生(横浜市立大学付属市民総合医療センターリハビリテーション科)の文献を中心に参考にさせてもらっていますが、若林先生の「栄養ケアなくしてリハなし」という言葉はとても心に響きました。
次回のコラムではもう少しサルコペニアについて掘り下げてみたいと思っています。

読んでいただいてありがとうございました!!