どんなところで働くの?理学療法士(PT)の就職事情 PT働くシリーズVol.1

理学療法士(以下PT)はリハビリテーションの専門職ですが、実際にどのよう場所で働いているのでしょうか?今回は理学療法士の就職先や需要傾向など、就職事情をご紹介させていただきます。

理学療法士の就職先:ほとんどが”医療施設”に所属

PTの国家試験に合格したのは2015年3月現在で約13万人となりました。日本理学療法士協会によると2015年3月現在の会員数は95,981人でした。その内、PTが一番多く所属しているのは大学病院や総合病院、一般病院、クリニックなどの医療施設(65%)でした。次いで介護老人保健施設やデイケア、デイサービス、訪問看護ステーションなどの医療福祉中間施設(8%)、大学や専門学校などの教育・研究機関(2.4%)、特別養護老人ホームなどの老人福祉施設(1.3%)、児童福祉施設(0.7%)、行政関係施設(0.4%)などです。

このように、ほとんどが医療施設に所属していました。日本は高齢社会を迎え、介護保険領域の人材が求められている中、その領域に所属しているPTは、まだまだ多くないようです。また、教育・研究機関にはPTが比較的多く所属していました。これはPT養成校が増加していることが要因でしょうか。一方、少数ですが自営・開業や介護サービス企業、一般企業、健康産業(スポーツまたはフィットネス)などに所属しているPTもおり、少しずつPTの職域が広がりつつあると感じました。

理学療法士の需要傾向:PTは”介護保険領域”の求人が増加傾向

日本理学療法士協会がPTの養成校に対して求人状況を把握するためのアンケート調査を実施しています。(求人調査報告書)。やや古いデータですが平成17~21年の調査では、求人倍率は国家試験受験者の増加傾向に伴い相対的に右肩下がりの状態でした。(10.2倍⇒3.08倍)しかし、平成22年度の調査では10.6倍と前年と比較して大幅に増加していました。全体的に求人数が増えているものの、分野別にみると病院などの医療機関の求人より、介護保険領域の求人が増加している特徴がありました。国も団塊の世代が75歳になる2035年に向けて、地域包括ケアシステムを構築しようとしており、介護保険領域で働く理学療法士が必要とされると思われます。

今後もPTの職域としては、介護保険領域の施設、在宅、通所などの雇用が増加していくのではないでしょうか。 そして、求人倍率を他の職種と比較しています。医療従事者(看護師・保健師:4.88倍、医療技術者:3.53倍)や他の一般職種(機械・電気・土木等の技術職:1.05倍、事務・会計・営業などの管理的職業:1.34)よりも高い求人倍率でした。他の職種より需要は高いようですが、将来的にPTが供給過多になるのではないかと言われています。今後のPT需要傾向の調査結果が気になります。

今後の動向:選ばなければ就職出来る!今後のキャリアデザインが大切?

上記をまとめると、理学療法士の就職先はほとんどが医療施設だが、医療施設の求人数は減少し介護保険領域の求人が増えているということでした。今後は医療施設に就職するのが難しく、介護保険領域に就職する者が増加するかもしれないということです。しかし、新卒者にとっては、経験が必要となる訪問リハビリなどの介護保険領域の施設より、教育が受けられやすい医療施設に人気が高いと思います。実際にも将来は訪問リハビリに携わりたいが、まずは医療施設で勉強したいと言う者の話をよく聞きます。また、平成26年度賃金構造基本統計調査から、PTの給与・年収は右肩上がりに上がるが、従業員数が多い大きな法人に長く務めるほど、給与・年収が高い傾向にあるようです。給与・年収や就労条件の良いところには応募者が集まるのは当然です。そして、人口の多い都市部などは求人数が多く、人口が少ない地方では求人数が少ないなど地域格差もあります。

私見ですが今後、現状のままPTの数が増えて行けば、給与や年収、休日数や立地、診療分野など自分の希望の条件に合う職場を探すことは難しつなりつつあるでしょう。逆を言えば就職先を選ばなければ就職出来ると思います。今後も日本の高齢化が進む中、国民の健康維持増進のための人材のニーズが高まっていくと思います。

現在は少数ですが、自営・開業や介護サービス企業、一般企業、健康産業などの新しい職域で活躍するPTも増えるのではないでしょうか。供給過多になる可能性がある中、必要とされるPTになるには、将来どの様なPTになりたいか、しっかりした将来のビジョンを持ち、就職先で何を学び、それを将来にどうつなげていくか、キャリアデザインすることが大切だと思います。

ABOUTこの記事をかいた人

川副泰祐

陸上自衛隊退職後、理学療法士養成校に入学。卒業後はリハビリテーション病院で勤務し、2012年9月よりJICA青年海外協力隊としてタイ国に赴任。バンコク近郊のパトゥンターニー県労災リハビリテーションセンターに理学療法士として活動。帰国後、神奈川県内の病院で勤務中。長崎県長崎市出身。1982年12月生まれ。