『MCI』を知って認知症予防!

認知症の一番のリスクファクターは年齢です!こればかりはどうすることできません。

しかし、近年、世界的に高齢化が進んでおり、2015年現在3,2秒に一人が認知症になっています(World Alzheimer Report 2015)。

そんな中、日本は世界の中でもトップクラスの高齢化社会となっており、認知症に対して日本がどう対応していくのか世界から注目されているようです。平成22年の厚生労働省の発表によると認知症有病者数は439万人、MCI有病者数は380万人となっています。

MCIとは?

MCI(Mild Cognitive Impairment:軽度認知障害)とは本人や家族からモノ忘れなど認知機能低下の訴えがあるものの日常生活には支障がない状態を指します。わかりやすく言いますと、健常者と認知症者の中間段階にあるグレーゾーンな状態で認知症の前駆段階と言えます。

どのように診断されるか?

MCIの診断基準というのはまだ確立されていませんが、MCIの定義として以下の5つがあります。

1.本人や家族から記憶障害の訴えがある
2.年齢や教育レベルの影響のみでは説明できない記憶障害がある
3.日常生活には問題がない
4.全般的な認知機能は正常
5.認知症ではない

MCIのスクリーニングテストとして東京健康長寿医療センター研究所が作成されている日本版MoCA(Montreal Cognitive Assessment)があります。

MCIになるとどうなる?

MCIは認知症予備軍とも言われており、5年間で約50%の人は認知症へとステージが進行するとされています。

認知症に移行する危険性が高い状態と言えますが、MCIの人すべてが認知症になるとは限りません。認知症を発症してしまうと完治することは困難ですが、最近の研究ではMCIの段階から適切な予防、治療を行うことで健常者に戻せる可能性もあると言われています。そのため、MCIの段階を早期発見することがとても大切なのです!!

アミロイドベータペプチドとは?

認知症には大きく分けて脳血管性認知症とアルツハイマー型認知症に分けられます。脳血管性認知症は脳卒中を予防することが認知症の予防となってきますが、アルツハイマー型認知症ではアミロイドベータペプチドという物質が脳内に凝集・蓄積され、神経細胞を破壊することで発症します。

アミロイドベータペプチドは健常者の時から脳内に蓄積は始まっています。アミロイドベータペプチドを最近、ラットを使った研究では頭を使わせながら行った運動プログラムを実施した結果、アミロイドベータペプチドの蓄積は抑制されたという報告もあります。

MCIになったら

MCIの段階でも脳内にアミロイドベータペプチドは蓄積されていますが、MCIの段階では認知症へ進行しないよう予防できる状況です。認知症へ進行しないためには、前述したようにアミロイドベータペプチドの蓄積を抑制しなければなりません。

認知症およびMCIに対して確立された治療方法はありませんが、息が弾む程度の運動を週3回行うことが有効されています。また、前述したラットの研究のようにただ単に運動を行うだけではなく、頭を使いながら行う運動が推奨されています。

頭を使いながら身体を動かす運動として国立長寿医療研究センターが開発したコグニサイズがあります。

コグニサイズとは?

cognition (認知) とexercise (運動) を組み合わせた言葉でcognicise(コグニサイズ)と言います。運動で健康を促すと同時に、脳活動を活発にする機会を増やして認知症を予防することが目的です。

コグニサイズのルール

どのような運動や認知課題でも構いませんが、下記の二つを考慮されていることが前提となっています。

・運動は全身を使った軽く息がはずむ程度のものであり、脈拍数が上昇すること。
・運動と同時に実施する認知課題によって、運動の方法や認知課題自体をたまに間違えてしまう程度の負荷がかかっていること。

 *詳しくは国立長寿医療研究センターHPを御参照ください。

終わりに

日本にはMCI有病者数が380万人います。しかし、すべての方が認知症へ進行するわけではありません。

認知症の根治療法は確立されていません。そのため、認知症を予防する取り組みが認知症対策として重要になってきます。MCIは認知症の前駆段階であり、MCIを早期発見し、MCIの時に認知症へ進行しないための努力をすることが大切になってきます。

前述したように習慣的な運動と知的活動の促進はもちろんのことですが、人との関わり合いや活動量を保つように社会活動を促していけるような地域ネットワークを作っていくことも必要だと感じています。