今更だけど、『地域包括ケアシステム』って何?!

先般、2016年度の診療報酬改定が発表されました。

前回、私のコラム【2016年度診療報酬改定】回復期リハ病棟のアウトカム評価では回復期リハのアウトカム評価を紹介させていただきました。

他の改定項目には、初期・早期加算の算定見直しや要介護保健者の維持期リハビリテーション料の減算などの改定がありました。目的としては、早期リハの充実や医療・介護連携の促しです。

この様に、定期的に行われる診療・介護報酬改定は、国の方針を反映しており、その内容は国にからの臨床現場に対するメッセージです。保険診療を生業としている以上、私達はそのメッセージを無視は出来ません。

若手の療法士は、職場の管理職でない限り、他人事に思えるかもしれませんが、理学療法士をはじめとした療法士が毎年一万人以上誕生している中、そのメッセージを受けてから行動していては時代の流れに取り残されてしまうのではないでしょうか。

私は1人の療法士として、国の方針や社会問題を当事者として捉え、時代のニーズに沿った働き方や勉強の仕方が必要だと思っています。そこで、今回は以前より国が推進している地域包括ケアシステムについて、改めて確認してみたいと思います。

地域包括ケアシステムとは

「ニーズに応じた住宅が提供されることを基本とした上で、生活上の安全・安心・健康を確保するために、医療や介護のみならず、福祉サービスを含めた様々な生活支援サービスが日常生活の場で(日常生活圏域)で適切に提供できるような地域での体制」

以上が定義です。

その際の地域包括ケア圏域については、「おおむね30分以内に駆け付けられる圏域」を理想的な圏域とし、具体的には中学校区を基本としています。

簡単に言うと、中学校区域の中で住民が地域で適切な医療や介護、福祉サービスなどの生活支援サービスを提供される仕組み作りを行い、住民が出来るだけ自宅や地域で生活を継続出来る体制を構築しようということだと思います。

その構成要素として、①すまいとすまい方、②生活支援・福祉サービス、③介護・リハビリテーション、④医療・看護、⑤保健・予防、があげられています。

また、この構成要素の基盤として、”本人・家族の選択と心構え”が示されています。具体的には、これまで常に誰かが家にいて、急変時に救急車で搬送されて病院で亡くなるという様な状況から、今後は毎日誰かが訪問して様子をみているが、翌日には自宅で、1人で亡くなっているという最期も珍しくなくなる。

つまり、「家族に見守られながら自宅で亡くなるわけでないことを住民が理解した上で在宅生活を選択する必要がある」としています。今後は私達が訪問リハで自宅を伺った時に亡くなっている人を発見することもあるかもしれません。

地域包括ケアシステムを構築する背景

日本人は、諸外国に例をみないスピードで高齢化が進んでおり、65歳以上の人口は現在3,000万人を超えており(国民の4人に1人)、2042年の約3,900万人でピークを迎え、その後も、75歳以上の人口割合の増加が予測されています。それに伴い、社会保障費が大幅に増大することが予想されています。

そのため、公助(行政の支援)や共助(健康保険など)だけでは補えなくなっており、互助(地域住民の協力やボランティア)や自助の力が求められています。この様な背景から、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けられることを目指し、地域包括ケアシステムを構築しようとしています。

地域包括ケアシステムにどのように関わるか

上記の様に国は、 団塊の世代が75歳以上になる2025年を目処に、地域包括ケアシステムの構築を進めています。それまでに数回の介護・診療報酬改定が行われます。直近の2018年には診療報酬と介護報酬の同時改定が行われ、医療と介護連携や病院の機能分化など、より地域包括ケアシステムを推し進めるような流れになるのは当然だと思います。

国は地域の体制作りを行っており、医療やリハビリといった小さな枠組みではなく、地域や社会といった広い枠組みでの取り組みです。地域に対して療法士がどのように貢献するかが問われていると思います。

2014年に医療介護総合確保推進法が交付され、地域医療介護総合確保基金が創設されています。その事業の一環として「介護予防の推進に資するOT、PT、ST指導者育成事業」も示されました。

日本理学療法士協会でも、2015年度より地域包括ケア推進リーダーや介護予防推進リーダーを創設し、地域ケア会議に参加する療法士の育成や介護予防に従事するセラピストの養成も始まっています。また、2016年度からは文部科学省の事業の一環として、長崎大学が開講する高度リハビリテーション専門職の育成など始まります。

この様に地域包括ケアシステムの構築に向けて、法律の交付や基金創設など、施策が具体的になってきています。

今回は地域包括ケアシステムについて確認してみました。今後、さらに様々な取り組みが活発になり影響は大きくなってくると思います。今後も動向を注視する必要があると思います。

ABOUTこの記事をかいた人

川副泰祐

陸上自衛隊退職後、理学療法士養成校に入学。卒業後はリハビリテーション病院で勤務し、2012年9月よりJICA青年海外協力隊としてタイ国に赴任。バンコク近郊のパトゥンターニー県労災リハビリテーションセンターに理学療法士として活動。帰国後、神奈川県内の病院で勤務中。長崎県長崎市出身。1982年12月生まれ。