【2016年度診療報酬改定】回復期リハ病棟のアウトカム評価

先般、2016年度の診療報酬改定の内容が公開されました。

リハビリ領域に関わる改定として特に注目されている一つは「回復期リハビリテーション病棟におけるアウトカム評価」ではないでしょうか。

今回、「回復期リハビリテーション病棟におけるアウトカム評価」についてご紹介します。

1. 回復期リハのアウトカム評価とは

回復期リハビリテーション病棟においてアウトカム(結果)の評価を行い、一定の水準に達しない保健医療機については、疾患別リハビリテーション料(例:運動器Ⅰ:180点、脳血管Ⅰ:245点など)を見直すというものです。具体的にはリハビリの実績が一定の水準を下回る場合、1日6単位以上の疾患別リハビリ料は回復期リハビリテーション病棟の入院料に含められるということです(6単以上は算定出来ない)。
算定の要件を簡単に以下に説明します。

(1)リハの提供実績が、回復期リハ病棟入院料を算定する患者において、疾患別リハの1日平均単位が6単位以上の場合。

(2)実績が一定の水準を下回るとは、①÷②27未満の場合。
①退棟時FIM(運動項目)の点数-入棟時FIM(運動項目)点数
②各患者の入棟から退棟までの日数÷入棟時の状態に応じた算定上限日数

(3)在棟中に一度も回復期リハ病棟入院料を算定しなかった患者や死亡した患者は算出を除外する。また、入棟日において次に該当する患者は算出を除外出来る(毎月の入棟患者数の100分30を超えない範囲)。
①FIM(運動項目)得点が20点以下のもの
②FIM(運動項目)得点が76点以上のもの
③FIM(認知項目)得点が25点未満のもの
④年齢が80歳以上のもの

(4)高次脳機能障害の患者が過去6ヶ月の入院患者の40%を超える場合(2)の算出から除外出来る

(5)在棟中にFIM(運動項目)が1週間で10点以上低下した患者については、(2)算出において得点が低下直前の時点をもって退棟したものとみなしてよい。

以上が算定の要件です。

なお、アウトカム評価は今年4月以降の入院患者について、今年7月からの実績を評価し、来年(2017年)1月1日からの実施となります(7-9月の3か月分、10-12月の3か月分を集計し、7-12月の半年の実績を評価(a)、同様に10-12月の3か月分、17年1-3月の3か月分を集計し、10-3月の半年の実績を評価(b)、abの2回連続で前述の水準を下回った場合に、17年4月から疾患別リハ料の算定が制限されるそうです。

2.回復期リハのアウトカム評価を強化した背景

背景にあるのは、リハビリテーションに関連する診療報酬の総額が近年、診療報酬全体の伸びを上回るペースで増加したことにあるようです。

これは回復期リハビリテーション病棟の病床数が増加(直近10年で2.5倍以上)し、月当たりの回復期リハ病棟入院料や疾患別リハビリ提供単位などが増加しためです。しかし、厚生労働省が行った調査によると必ずしも「リハビリを多く提供すれば、より患者のADLが改善する」という相関関係はないことが分かりました。

また、リハ多く提供する医療機関の中でもADL改善度に違いがあり「リハの提供量の多さが、必ずしもADLの改善に結びついていないケース」があることを報告しています。さらに、一部の回復期リハ病棟では、「入院患者の9割以上に1日平均6単位を超えるリハが提供されている」ことも分かり、非効率にリハを過剰に提供している可能性を懸念されているようです。

以上、今回は回復期リハのアウトカム評価についてご紹介しました。今まで以上にリハビリテーションの質と結果が求められています。回復期リハ病棟が増加している中、今後回復期リハ病棟も淘汰されていくと思います。

回復期リハ病棟の従事者は今回の改定をよく理解して業務に当たらなければないと思います。
 

補足:診療報酬

診療報酬とは、保険診療の際に医療行為等の対価として計算される報酬。「医師の報酬」ではなく、医療行為を行った医療機関・薬局の医業収入の総和を意味する。医業収入には、医師(または歯科医師)や看護師、その他の医療従事者の医療行為に対する対価である技術料、薬剤師の調剤行為に対する調剤技術料、処方された薬剤の薬剤費、使用された医療材料費、医療行為に伴って行われた検査費用などが含まれる。
日本の保険診療の場合、診療報酬点数表に基づいて計算され点数で表現される。患者はこの一部を窓口で支払い(自己負担)、残りは公的医療保険で支払われる。保険を適用しない自由診療の場合の医療費は、診療報酬点数に規定されず、患者が全額を負担する。1点が約10円です。診療報酬は中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関)が2年ごとに健康保険制度や診療報酬の改定などを行っている。

ABOUTこの記事をかいた人

川副泰祐

陸上自衛隊退職後、理学療法士養成校に入学。卒業後はリハビリテーション病院で勤務し、2012年9月よりJICA青年海外協力隊としてタイ国に赴任。バンコク近郊のパトゥンターニー県労災リハビリテーションセンターに理学療法士として活動。帰国後、神奈川県内の病院で勤務中。長崎県長崎市出身。1982年12月生まれ。